2020年代に入って、インターネットや携帯電話だけでなく、オフィスの固定電話を取り巻く環境も変化してきています。意外に知らない2024年のISDN回線終了に伴う一部サービスの終了やコロナ渦だからこそ注目されはじめたクラウド電話など、すでに導入している電話回線や今後の電話回線の行方について知っておいた方がよい情報もあります。
ここでは
- アナログ回線
- デジタル回線(ISDN回線)
- IP電話
- ひかり電話
- 直収電話
- クラウド電話
をそれぞれ紹介いたします。いま一度、固定電話回線についておさらいしてみましょう。
アナログ回線
昔ながらの黒電話の「ダイヤル回線」とボタンを押すごとにプッシュ音が鳴る「プッシュ回線」があります。
古くから一般家庭や個人商店で利用されているのが、これらの「アナログ回線」で、停電時でも利用可能、通信障害からの復旧が早いことから、万が一のために企業でも一部アナログ回線を引いているケースがあります。
費用は割高で1回線1通話の利用となります。また、電話加入権が必要となります。
- ダイヤル回線とプッシュ回線あり
- 停電時でも利用可能
- 通信障害からの復旧が早い
- 1回線1通話
- 電話番号は03、06などの市外局番(0AB-J)
デジタル回線
アナログ回線同様、電話加入権が必要な「ISDN回線」のことを言います。
盗聴が難しく、音質はアナログ回線と比較するときれいです。また、1契約で2通話までの利用が可能なため、FAXを同じ電話番号で利用しているケースでは、このISDN回線ということが多いでしょう。
NTTからは2024年のINSネットのサービス終了が発表されていて、申し出がなければメタルIP電話への移行がされます。通話モード、キャッチホン、ナンバーディスプレイ、公衆電話等には影響はありませんが、INSネット ディジタル通信モードの利用ができなくなります。
ISDN回線を利用していることを把握していない場合、ディジタル通信モード終了によって、
- CCT(信用照会端末):クレジットカードでのお支払い時に、カードの信用照会をするために機器を利用。POSシステムなどでも利用されています。
- EDI(電子商取引):パソコン等でメーカー・卸・小売り間等での商品の受発注に利用
- 企業の拠点間ネットワーク:本社と支社の通信バックアップに利用
- レセプトオンライン請求:医療機関・調剤薬局などが、保険診療の診療報酬を、オンラインで審査支払機関や健康保険事業者等に請求するために利用
- G4規格FAX:マルチコピー複合機によるFAX送受信、または店舗に機器を設定しFAXサービスを提供するために利用(G3規格FAXは対象外です)
などがご利用いただけなくなる可能性があり、さまざまな場面での影響が予想されます。
代替サービスを提供する予定はあるようですが、ISDNに比べて処理速度が遅く処理時間の増加が予想されます。ISDN回線のディジタル通信モードをご利用の場合は、今後の検討が必要ですのでご注意ください。
- 1契約2通話
- 電話番号は03、06などの市外局番(0AB-J)
- ISDN回線(INSネット)は2024年1月でサービス終了し申し出がなければメタルIP電話への移行
- INSネット ディジタル通信モードも終了するため支障がないか注意が必要
IP電話
インターネット通信を用いた電話回線で、電話番号は050ではじまる番号になります。
月額基本料がアナログ回線に比べて安く、通話料は距離に関係なく一律です。同じプロバイダでの通話の場合、通話料が無料になるケースもあります。
また、アナログ回線に比べ、音質がきれいで、盗聴が難しいと言われています。
反面、フリーダイヤルや緊急通報用電話番号の利用ができないこと、初期登録時にターミナルアダプタの購入と設定が必要などのデメリットがあげられます。
- インターネット通信を用いた電話回線
- 電話番号は050
- 通話料は距離に関係なく一律
- フリーダイヤルや緊急通報用電話番号の利用ができない
- 初期登録時にターミナルアダプタの購入と設定が必要
ひかり電話
NTTのフレッツ光を利用した「IP電話」のサービスです。
IP電話のため、インターネット通信を用いた電話回線ですが、050ではなく03、06など市区町村の市外局番(0AB-J)をそのまま利用可能です。また、フリーダイヤルや緊急通報用電話番号の利用が可能と同じIP電話でも大きく違っています。
高速データ通信が可能ですが、回線契約とは別にプロバイダ契約が必要で、光ファイバーが建物に引き込まれていない場合は別途、工事費が発生します。
- NTTのフレッツ光を利用したIP電話
- 電話番号は03、06などの市外局番(0AB-J)
- フリーダイヤルや緊急通報用電話番号の利用が可能
直収電話
NTTを介さない市区町村の市外局番(0AB-J)の電話番号が利用できる固定電話サービスで中小企業や個人向けにソフトバンクテレコムやKDDI、J:COMなどが提供しています。
NTTの固定電話回線より月額料金が安価なケースが多く、電話加入権が不要です。
NTTを介さないため、NTT回線では可能な一部のサービスが利用できないため、契約の際には注意が必要です。
- NTTを介さない固定電話サービス
- 電話番号は03、06などの市外局番(0AB-J)
- NTT回線では可能な一部のサービスが利用できない
クラウド電話
「クラウド電話」はインターネットに接続されたパソコンやスマートフォンから受発信が可能な電話で、テレワーク時代に合ったサービスとして注目されています。
クラウド電話は電話回線の配線工事が不要で、IP電話、ひかり電話のようなターミナルアダプタの購入・設定、ひかり電話のような光ファイバーの引き込み工事などが不要です。
また、固定電話のような専用電話機がなくても電話ができるため、固定電話機のリースコストも不要です。もちろん、必要な場合は専用の固定電話も用意されています。
インターネットに接続されたパソコンやスマートフォンから電話ができるということは、外出先への電話転送もでき、国内の遠隔地や海外拠点同士での内線通話も可能です。
テレワークやフリーアドレス制を導入しても内線番号の変更や固定電話の配置変更が不要で、まさに次代を担う電話と言えるでしょう。
フリーダイヤルや緊急通報用電話番号は利用できないものもあるので注意が必要ですが、多くのメリットを持った「クラウド電話」は今後、さらに注目が集まることが予想されます。
- パソコンやスマートフォンから受発信が可能
- 電話回線の配線工事が不要
- ターミナルアダプタの購入と設定、光ファイバーの引き込み工事が不要
- 専用電話機がなくても可
- 電話番号は利用サービスによって050や03、06などの市外局番(0AB-J)あり
- フリーダイヤルや緊急通報用電話番号は利用できないものあり
いかがでしたでしょうか。ISDN回線の終了やクラウド電話の登場など、ビジネスフォンを取り巻く環境は日々進化を遂げています。
ビジネスで使用している固定電話を一度見直すことで、新しい働き方やコスト削減の糸口になるかもしれません。
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